母と娘が紡ぐ、
“ボルボ”の物語
「娘と次にクルマを買うときは、もう絶対“乗りたいクルマ”を買おうと決めていたんです」と語るのは、岸田ひろ実さん。
そんなひろ実さんの愛車は、ボルボV40。
車椅子でも乗れるよう手だけで運転できる仕様に改造された特別な1台だ。
ちなみに作家である娘の奈美さんもボルボ240エステートに乗っている。
母と娘そろってボルボに乗っているわけだが、そこには15年前に急逝した夫・浩二さんの影響がある。
ボルボは亡き夫が愛したクルマ
「車椅子生活になったのが、夫が亡くなってからで。それまで、
ずっとボルボ940っていうクルマに乗ってたんです」と語るひろ実さん。
夫の浩二さんはそのクルマに惚れ込んでいて、家族全員で
大好きなクルマだったという。
そんな思い出の詰まったボルボ940だったが、10年以上
乗ったあとに泣く泣く国産車に買い替えたそう。
夫が亡くなってからひろ実さんは、40歳の時に大動脈解離という病気で倒れてしまい、その後遺症で下半身が麻痺して車椅子生活に。
「私が手術の後遺症で歩けなくなってしまったときに『またクルマに乗りたい』というのが私のリハビリのモチベーションになっていました」
娘の奈美さんから
家族への提案
そんな中、娘の奈美さんが、家族にまつわる初エッセイを出版。
「娘がエッセイの印税を『家族が喜ぶことに使いたい』と言ってくれたんです。
それでボルボを買い戻そうっていう話になったんです」とひろ実さん。
奈美さんがいうには、浩二さんが亡くなって10年ぐらい経った頃、
ひろ実さんと浩二さんとの思い出を話し始めるようになったのだとか。
「お母さんとはそれまでお父さんとの話はあまりしなかったんです。ただある日、お父さんの思い出話になったときに
『死ぬまでにボルボに、もう1回乗りたいな』と、お母さんが言ってくれて」と奈美さんは語る。
生産中止になった
ボルボV40と運命の出会い
ひろ実さんと奈美さんは近くのボルボのディーラーへ
足を運んだ。
ひろ実さんは当時をこう振り返る。
「ボルボは正直高くて買えないということは分かっていたし、印税を私のクルマに使わせてしまっていいのかなと思っていました。ちゃんと考えてお金使ってもらいたいって考えてはいたんですが……。まあ、とりあえず一旦ボルボを見に行くだけ見に行こうって」
そこで、今のボルボV40と運命的に出会った。
「ボルボのクルマって大きいモデルが多くて、車椅子を横付けして駐車場に
停めることができないんです。でも、このV40ならコンパクトで、車椅子で
駐車場に停められる。しかもこのV40が生産中止になっていて、
近くの店舗にはあと2台しかないと聞いて……」とひろ実さん。
奈美さんは「もう買うしかない」と覚悟を決めて、印税と貯金すべてを
使って購入した。
その後、車椅子のひろ実さんが乗れるように、手だけで運転できるように
苦労して改造をしたのだという。
「一生乗りたい」
大切な愛車とともに生きる
ボルボV40を手に入れたストーリーを、娘の奈美さんがエッセイに
書いてそれが大バズリ。
「ボルボの記事が出たあとにいろんなところで声をかけられました。
娘と一緒に出かけた際に、『ボルボどうですか?』と
必ずクルマのことを聞かれるようになりました」
苦労の末、手に入れた愛車。「一生乗りたい」とひろ実さんは語る。
「乗れるだけ乗りたいですね。夫が乗っていたボルボ940も、もうずっと修理しながら10年間乗っていたので。それくらい大切に乗っていきたいです」
このボルボV40は家族との思い出が詰まった特別な存在であり、家族の絆そのものなのだろう。
ひろ実さんは、この愛車とともに、これからも新たな思い出を作り続けていくに違いない。
~Extra Story~
ボルボV40の素敵なストーリーを併せてご覧いただけます。
「全財産を使って外車買ったら、えらいことになった」(岸田奈美さんのブログ)Profile
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岸田ひろ実
(カウンセラー / 作家)1968年大阪市生まれ。
ダウン症で知的障害のある⾧男の誕生、39 歳だった夫の急逝、さらに自身が大動脈解離で受けた手術の後遺症によって車椅子生活 になる。リハビリ中から心理学を学び始める。
2011 年、娘・奈美が創業メン バーである株式会社ミライロに入社し、同社主催講演などの講師を務めていた2020 年、感染性心内膜炎で再度の心臓手術を受ける。現在は退社し、カウ ンセラーの他講演やコンサルティングなどフリーランスで活動中。
著書に『人生、山あり谷あり家族あり』(新潮社)、『ママ、死にたいなら死んでもいいよ』 (致知出版)。 -
岸田奈美(作家)
1991年生まれ、兵庫県神戸市出身。
関西学院大学人間福祉学部社会起業学科在学中に株式会社ミライロの創業メンバーとして加入、10年に渡り広報部⾧を務めたのち、作家として独立。
Forbes 「30 UNDER 30 Asia 2021」選出やテレビ出演など活躍の場を広げている。
著書に『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(小学館)、『もうあかんわ日記』(ライツ社)、『飽きっぽいから、愛っぽい』(講談社)など。
最新刊に『国道沿いで、だいじょうぶ100回』(小学館)。 -
岸田良太(文字職人)
1995年生まれ。
生後すぐにダウン症の診断をうける。姉で作家・岸田奈美の エッセイ『弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった』がネットで 100 万人以上に読まれたことで一躍有名に。
ひとつひとつ丁寧に綴られる独特であ たたかみのある文字が評価され、現在は福祉作業所で働くかたわら、文字職人 として、株式会社ほぼ日からオリジナル手帳を発売するなど活躍の場を広げている。
“愛”のある“クルマ”のお手入れを。
愛あるクルマはいつまでも美しく、そしてかっこよくいてほしいですね。
輝かしいカーライフを送るみなさまへ、愛車を長く大切に輝かせるためのお手入れのワンポイントアドバイスを紹介します。
今回の岸田ひろ実さんのボルボV40は、コンパクトながら高級感があり、美しいホワイトカラーが洗練された雰囲気を醸し出しています。
ホワイトカラーは清潔感があり人気のカラーですが、降雨後に雨跡などが付着すると美しいボディが台無しになります。放置するとしつこい水アカになりますので、こまめなお手入れが重要です。
岸田家では生前お父さんから「フクピカ、せい!」とよく言われて家族でカーケアされていたようですが、まさに拭くだけで済む簡単なカーケアアイテムなどを活用して、早め早めにお手入れをすることをおすすめします。
また、ボルボV40の内装は美しいホワイトカラーのボディとは対照的に外国車ならではの高級感のある黒基調のインテリアが採用されています。
黒基調だけにダッシュボードなどの樹脂パーツ部分には手アカや日焼け止めなどの汚れも目立ちがちです。除菌効果もある車専用のインテリアクリーナー等を使っていただくことで、いつも気持ちよくドライブしていただけます。
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父が乗っていたボルボ940
Episode 04 父と娘の240
「このボルボに乗るために免許を取ったんで。まさか30歳になって免許取ると思わなかった。」
彼女がボルボに乗るようになったのは、15年前に急逝した父の影響がある…
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